行っときたい展覧会(2025年11月)
近況
お久しぶりです。6月半ばにフランスに渡航し、9月上旬にベナンから帰国、その後、薪窯の会関連の用事やら秋学期が始まったりやらで忙殺されておりました。修正して投稿で返ってきた論文も書かなきゃなのに…。アクティビズム的な意味では、頼りになる、なりすぎる後輩2人とPodcast「女子校の後輩と話し始める「脱植民地化」」を始めました。いずれもインスタから飛べます。
https://www.instagram.com/gs_decolonize_2025/ →「脱植民地化」podcast
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行っときたい展覧会
芸術の秋、アートフェアや展覧会など京都でも美術イベントが多数開催されておりますが、陶芸・陶磁に関して「行っときたい」展覧会をお知らせいたします。上2件はもう今日までやけど…。記録として、ね!もし京都にいる方はご用事の帰りにでもぜひぜひ。
5の方の「ドレス」を鑑賞者が着られるパフォーマンスはなかなかない機会なのでぜひご参加下さい。
1.京都芸術大学大学院芸術研究科 芸術専攻(修士課程)1年生作品展 HOP2025
京都芸術大学(旧造形大)大学院の制作系領域横断の中間発表展です。私が非常勤でリサーチ・修論執筆を指導している、陶芸分野の院生も3名参加しています。立体造形やインスタレーションが多く、陶磁を用いた芸術が、大学院レベルでも非常に多様になっていることが実感いただけます。分野混合でのキュレーションも大学の色が出ていて面白いかと思います。
会期:2025年11月7日(金)~2025年11月16日(日)
時間:10:00~17:00会場:ギャルリ・オーブ(京都芸術大学人間館1階:エントランスを入ってカフェを抜けて突き当り右です。)〒606-8271 京都府京都市左京区北白川瓜生山2-116
2.アールシー陶器市 2025 / RC Ceramic Market 2025
2025年11月15日(土)・16日(日) 10:00–17:00会場:RC HOTEL京都八坂https://www.instagram.com/p/DQ0RSUkEyR6/
私が『だえん』https://daenpub.base.shop/ に寄稿した論考でも言及した、清水坂の団地を改修したホテル、RC HOTEL 京都八坂の前敷地で実施される陶器市です。例年、器系の陶芸家から油画・立体造形のアーティストまで、分野を横断した作家が「陶器市」の名のもとに出店していますが、今年は陶や立体、靴下など、素材もスタイルも多彩な作家たちが参加しています。
3.リュ・ジェユン個展 「二つの島を行き来するカモメ」
2025年10月28日(火)〜2025年11月17日(月)10:00 〜 20:00(最終日は17時まで)
会場:京都蔦屋書店(高島屋SC 5,6階)
https://www.tokyoartbeat.com/events/-/Ryu-Jeyoon-Exhibition/kyoto-tsutaya-books/2025-10-28
韓国出身で、京都市立芸大の大学院を修了し、日本を拠点に広くアジアで活動を続けるリュさんの個展。今回は、出身である韓国北部の島、白翎島と、数年前に訪れ、今年再訪したイタリアの情景をきっかけに、記憶と現実、過去と現在を往復するテーマに、詩的な深みのある展示になっています。作品も購入可能ですが、「鳥」とか「島」のキーワードと人生の関係、制作の歩みについてエッセイと評論・豊富な作品写真が掲載された図録『土と歩む』も現地で購入可能です。
中村が冒頭の評論を寄稿しています。
https://neutralonline-obs.stores.jp/items/68466cb59637341edeb6fd17(こちらのサイトからオンラインでもご購入頂けます。)なお、リュさんの作品はArt Collaboration Kyotoにも出品中です。
4.やまわきてるり個展「たましいのいれもの」
2025年11月12日(水)〜2025年11月25日(火)9:30 〜 18:00
会場:The Terminal KYOTO
https://www.tokyoartbeat.com/events/-/Teruri-Yamawaki-Container-for-the-Soul/the-terminal-kyoto/2025-11-12
四条烏丸からすぐの大きな町屋を改装したギャラリーでの展示です。 インドネシア・ポルトガルでの遊学を経てやきものを始められ、金沢の卯辰山工芸工房を修了後、金沢を拠点とするアーティストの関西初個展です。やきもののキャリアも独特ですが、音楽のバックグラウンドもお持ちで、素敵な広がりを持った世界観で、繊細な工程を経つつ大型の立体作品を制作されています。
今回は信楽のレジデンスで制作された新作も豊富に展示されています。(ご本人のインタビュー映像もあります!→https://www.instagram.com/reel/DP5CV65gtHF/)
5.柳生梨音個展「the secret maiden」
2025年11/15(土)〜11/24(月)時間:12:00〜16:00 ※11/19(水)はお休み場所:Gojo Green Tea Stand (五条坂)
[イベント]
・作家在廊日(15.16.18.22.23.24)は陶のドレス試着体験
・11/24(月)14:30〜 ファッションショー(30分予定)、フリートーク(30分程を予定)
https://www.instagram.com/p/DQeEvCTgZtR/
柳生さんが制作されてきた「陶のドレス」シリーズの展覧会です。社会的な「女性らしさ」と自分自身が感じるそぐわなさ、それでも少女文化に憧れを持つ部分が自分にあること、こういった女性性・少女性を巡る相克が起点に陶磁のドレスシリーズは始まりました。
ジェンダーを軸としたこういったアプローチは類例がありますが、柳生さんの制作には、可憐な見た目の作品ながら素材が否応なく持つ重みや強さを身体で受け止めるという形で、コンセプトが作品に対応しているという独自性があります。例えば陶磁の小パーツを計算しながら作り、クリノリン(スカートを膨らませる骨組みみたいなもの)を針金で自作する工程には「大工仕事」のような側面があるし、それでできたドレスを着るパフォーマンスでも重さや針金の硬さを身に感じる、とか。
まだまだ若手でこれからのアーティストです、ぜひ今のうちからご覧になってみて下さい。なお、同じ期間に五条坂界隈7か所でEmergenceという若手作家展も開催されています。
6.「SOBACHOKO」そばちょこ展 Vol.1
2025年11月15日(土)~11月23日(日)
会場:太秦和泉式部町、「仏具と喫茶」
https://feel-the-zen.jp/?page_id=4707
先月個展と2人展を成功させた浅井慶一郎さん(好文舎の展示よかった~!)を始め、京都・奈良を拠点とする6人の若手作家を中心に、タイトル通り蕎麦猪口、そして薬味皿や蕎麦皿などを展示販売します。仏具店でありながらオーナーが仏教にも文化にも造形の深い方だそうで、茶室もある素敵な日本建築空間で、そば打ち体験やそばの実食、お茶会なども開催されます。
東京の展覧会と行っとけばよかった…の展覧会
11月12日から東京に行ってて、以下の3点を見ました(インスタのストーリーズにはアップしたところです)
1.道川省三展「Roll over the classics - Case of Shozo Michikawa」
11月12日(水)~12月7日(日)
会場:アルテクラシカ(東京都港区南青山6-1-6 1F)
休廊日:11月17(月)・18日(火)・25日(火)・26日(水)・12月1日(月)・2日(火)
開廊時間:11時−18時 日・祝:12時−17時
久しぶりに道川さんにお会いした。こちらの会場も普段は主に古美術・骨董系のギャラリーらしいが、作品にほれ込んだオーナーさんとの関係で実現したと。相変わらず独自に人と繋がって、その繋がりを文化圏・経済圏として成立させ、パワフルかつ自由な活動を継続されていてすごい。で、道川さんのいらっしゃるところに行ったら、会場でまた素敵な人に出会うという、エコシステム生成機みたいな方なんですよね。
制度や業界を脱中心化する方法論など、私の思考の枠組みは、道川さんのそういう活動の様にだいぶインスパイアされています。土の内側に迫るような新作のシリーズがめっちゃいいのでぜひぜひ。
2.日展
(もう今さら日展て…という感じの方も多いでしょうが、第五科書に父の作品が出てます。私の知的実存の良くも悪くもルーツみたいな…。それから『だえん』に登場した西成の綾さんをモデルにした本宮氷さんの作品が洋画に出ています。日展的なものへの挑戦もあるし、だえんを読んだ人は分かるけど、綾さんのバックストーリーとかを知るといよいよ意義も深い。これは結構見る価値あり!)
3.土、戯れ、挑む「木村達哉」展
2025年11月15日(土)~11月23日(日)*11月20日(木)はお休み
会場:うつわや涼一石(〒105-0012 東京都港区芝大門2丁目2−8)
営業時間 11時~18時、作家在廊日(予定) 11月15日(土)、16日(日)
若くして、いわゆる雑器である「山茶碗」に着目しながら、現代の器として呼び起こすような制作をされてる木村さんの個展。私はプリミティヴィズムに陥らず、権威としての伝統の創造からも逃れて「我々」の過去や、集団的記憶に向き合う方法を自分の研究で考えてきたけど、木村さんの実践は日本でのその貴重な一例だと勝手に思っている。フランスの陶産地での若手の実践や、ベナンのアートセンターの事例と比較したエッセイを書きたい(時間ができたら…)。SNSでずっと見ててやっと展示に行けたんだけど、本当に本当によかったのでみなさんぜひ。
こんな感じで、やっぱりやきものといっても本当に多様なものがあるなあ…という感じが改めてします。私は研究をやっていくけど、そういうのをちゃんと提示できるような即時性あるメディアもあったらいいのになあとか思わんでもない。ただメディアを続けるってほんと色々難しいよな。
あと行っとけばよかった展覧会がいくつかあります。季節の変わり目で逃しちゃったり…。それについてもまた書きます。
そんなこんなです。ばーっと書いたので誤字などあったらすみません。今後ともよろしく!
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